どうやら二人は俺の同室人を知っているらしい。



「あの、何かまずい人なんでしょうか?」
「…とりあえず部屋に行きましょうか。会えば分かりますよ。」



龍さんは笑って言ってるけど、正直不安しかない。


寮の中は外見に物怖じしない広さで、男子寮とは思えないほど綺麗だった。


龍さんと壱さんの案内で、部屋まで迷うことなくたどり着くことが出来た。


204号室のネームプレートには既に俺の名前が入っている。


横には同室者の名前。


“壬生 要樹(ミブ ヨウキ)”



「壬生……要樹……この人が同室なんですよね?」
「ええ、まぁ。多分中に居ると思いますよ。」



龍さんの笑みが苦笑いに見える。
壱さんに至っては部屋の前に着いた途端、龍さんの背に隠れてしまった。


そんなにやばい奴なのかな…。


俺は意を決してドアノブに手を伸ばす。


ドアノブに触れて、ふと考えた。


ノックってするべき?
でも自分の部屋だし…
いいよな、別に。
うん、いいはず!



思い切ってドアノブを回す。


カチャッと音がして、ゆっくりとドアが開く。