俺より小柄といえども、勢いがありすぎて、俺は後ろへそのまま倒れ込んだ。


「いったたたた…」
「姫様だぁー!お久しぶりですぅ!ずーっと会いたかったんですよ!!」



突進してきた生徒は上に乗っかり抱きついたまま、歓喜の声を挙げている。


ひ、姫って……コイツもかよ。


一体何なんだよ……。


「龍!抜け駆けなんて酷いぞ!」
「別に抜け駆けした訳じゃない。それより姫さ――じゃなかった。佐紀様が困ってる。」



龍さんがひょいと小柄な生徒を俺の上から退けてくれた。


俺は立ち上がり、砂埃を払う。


「姫様、ごめんなさい……。嬉しくて、つい…」


しょぼんと眉尻を下げられたら、こっちが悪い気分になる。


「いや、全然気にしてないから。それより、その姫様って何なの?」
「え?姫様は姫様でしょ?」



何を言ってるんだと言わんばかりの返し。