「ここが桃園学園、桜木寮です。」


龍さんの案内で見上げた寮は、校舎に負けないぐらい大きかった。



「どうしました?」
「いや、想像してたよりデカいなって……」
「見慣れてしまえば何てこと無いですよ。姫……ではなくて、佐紀様、何号室です?」
「様はいらないですって。俺、後輩なんですから…。部屋は……」




事前に送られてきた資料を封筒から取り出す。


入寮案内の紙があったはず…。



「えっと…」
「あーっ!」


俺の言葉は突然の叫び声に打ち消された。


なっ…今度は何だ?


声がしたのは、寮の入り口から。



目を向ければ、目をキラキラと輝かせて駆けてくる、少し小柄な生徒が一人。



え、なんか……デジャヴ?



その生徒は立ち止まることなく、


「……え?」



物凄い勢いで飛びついてきた。