教室中の視線を浴びる。
注目される事に慣れていない俺には、ちょっと耐え難い。
でもこれが転入生の運命だよね……。
転入初日の月曜日。
職員室から担任に連れられて教室に入れば、教室中の視線が俺に注がれた。
その中には朱鷺と要樹の姿もあった。
朱鷺はひらひらと手を振って俺に挨拶をしてくれたけど、要樹は全く興味ないようで窓の外を眺めていた。
担任による簡単な紹介のあと、バトンは俺へと渡される。
「えっと、藤倉 佐紀です。よ、よろしくお願いします。」
言葉少ない自己紹介にも拍手はされ、担任は俺に席を指示した。
幸か不幸か、隣の席は
「よ、よろしく……」
要樹だった。
げんなりとした表情をされ、言葉もでない。
うん、まあそんな顔されるのも仕方ないよな。
部屋が一緒な上、クラスも一緒。その上、席も隣だなんて。
「ほんと、すごい偶然だよな!あははは…」
「………………」
無言が一番きついなぁ。
簡単なHRが終わると担任が教室から出ていった。
「なぁ」
「……………なんだ?」
「今朝、何時に部屋出たんだ?起きたらもう居ないし。せっかく一緒に行こうと思ったのにさ。」


