桃園(トウエン)学園は、完全寮制の男子校だ。


俺はデカすぎる校門を見上げた。



「ここに通うのか……」



なんか別世界って感じ。



季節は夏。


今日、俺はこの学園に転入してきた。



事情は、まぁ話長くなるから今度にしよう。



「っと、寮はどっちだ?」


手にしていた校内地図に視線を落とす。



今日は日曜日だから、学校は明日からだ。


とりあえず入寮は済ませようと、1日早めに来たわけだけど………。


「んー……地図がさっぱり読めねー……」



こういう時、方向音痴って面倒だなって思うよ。




「――姫様!?」



……ん?姫様?


現代の、しかも日本じゃ聞き慣れない単語に、俺は地図から視線を上げた。