【短編】恋しちゃダメですかっ?

背中にあの声が、突き刺さる。


「わぁ、びっくりだ、ことね、あんたこんなとこで、何してんの??」


やっぱり、そうだ。
まさか、ここで会うなんて、誰が予想した?



「ゆきこそ、何で病院にいるのよ?」


「あんた、そんな興奮して、大きな声ださないで。」

「ゆきの方が声、大きいってば!!」


「あんた、病院になんの用?」


「私?…私は…えーと、通りすがり…ちがっ…あの…」

もう〜かみすぎの、しかも、しどろもどろ!!


「ああ…私…えーと、友達の弟が入院したって聞いたから…お見舞いよ。」


苦しい…やっぱり、まだ、かんでる!!



「ふ〜ん、どの子??」


ことねはぐるっとベットを見渡し


「いやいや、部屋を間違ったみたいなんだよね。
じゃあまたね。」


ゆきに手をふり、部屋をでていこうとすると。


「あんた、なぜに、あたしがここにいるか知りたくないの?」


そんなの…どうでもいい。

先生を探さなきゃあ。



「この子は私の友達の妹。まだ子供なのによー。かわいそうだろっ、こんなもん、いっぱいつけられてさ。」


ゆきはうっすら涙を浮かべて、私の手をしっかりと握った。


「それと、あんたにだから言うけど、この子の担当医が、そりゃあもう、あたしのタイプでさ、この前うまいこと、検診にあたったんだよ。
ラッキー。」



涙をうっすら浮かべてた、ゆきは、もうどこかに、とっくに消えていた。