「別にアンタのせいじゃないし…」
「俺のファンの子のしわざだろ」
切なげな表情で呟いた彼に胸がしめつけられる。
身体が不安定な状態の腕の中で、彼の服をぎゅっと握った。
「ちょっと…。ほんのちょっと、怖かっただけ…だから」
私のか細い声に眉を寄せた彼が額に口づけを落として放つ。
「今日は、帰さないから――」
甘い声色に彼を見上げた私は、視線を合わせようとはせず前を向いている姿を見て。
改めて訊ねなくても、その意味を理解した。
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