「あっ…。それなら、ちょっと膝を…」 言い終わらないうちに、彼によって抱き上げられた。 俗にいう、お姫様だっこというやつで――。 「お、おろしてっ!」 恥ずかしさから、両手足を使ってバタバタと暴れる私に。 彼がさらに抱きかかえた腕の力を強める。 「そのケガ、俺のせいだろ。…ごめん」 いつもと違い弱気な彼の発言に拍子抜け。 まさか森本哉太の口から謝罪の言葉が聞けるとは思いもしなかった。