「おお、よしよし。 お姉さんがサクラちゃんをこの毒牙から守ってあげるからね~」 俯いたままだった私は、水戸先輩にふわりと抱きしめられた。 水戸先輩からはいい匂いがした。 抱きしめられた状態で部長に視線を向けると。 複雑そうな、なんともいえない表情だった。 あの鬼部長の豊橋先輩にあんな顔をさせることができるのは。 きっと、水戸先輩だけ――。