「…ッ…哉太…」



震える目蓋でまばたきを数回くり返す。



「いってくる」


「あっ…」



肩ほどの丈になった私の髪を切なげなまなざしでやんわり触れて。



拳を振り上げ、約束の地に赴いて行った。




掠れた声で告げた私の「いってらっしゃい」は。



哉太の耳に、ちゃんと届いていたのかはわからない――。