千架斗SIDE



「当たり前だろ?」



―そう言う蒼にはうっすらと笑みが浮かぶ。



その笑みは、
まるで海ちゃんを守ることに
自信がみなぎっているかのように思わせる。



海ちゃんと関わることで、
はっきり言って、
自分の命も危うくなるかもしれない…。



下手に情報を持っていることで、
蒼自身が危険に曝される可能性だってある。



だけど、コイツはそれを承知の上で
余裕の笑みを見せる。



―海ちゃんを引き取る時、
俺は悪いけど、反対した。



海ちゃんは警察組織の施設に
預けるべきだとも提案した。



でも、蒼は軽々とその提案を却下し、
事情聴取するなら俺が聞き出すからと
彼女を自分の傍に置いた。



危険を省みず、覚悟を決め、
彼女の傍にいる蒼。



―今までの彼なら、信じがたい事実だ。



でも、そんな蒼を変えたのは、海ちゃんだ。



彼女にそんな力があったのか、
よくわからないし、
確かに優しくて常識があって
良い子だとは思うけど、
言ってしまえば海ちゃんは普通の
どこにでもいる女子高生で。
彼を此処まで彼女を想わせるようになった
魅力があったのかもよくわからない。



だけど、蒼はものすごく彼女を
愛しく想っていて。



彼にとって、彼女に出逢えたことは、
決してマイナスだけじゃなかったと
考えることができた。



「必ず、守り抜くさ。
死なせはしない。誰にもやらない。
海は俺のだ。」



―そう言って、
蒼は再び余裕綽々な笑みを浮かべた。



蒼がそう言うなら仕方ない。
俺も出来る限りサポートしてやるよ。
大事な親友を死なせないためにな。



千架斗SIDE end