「大丈夫か?」



「何が?」



「久しぶりに学校行くんだろ?
友だちとの関係とか、大丈夫か?」



「蒼ってば、心配性だねー。」



「心配したら悪いかよ。」



冗談まじりで笑いながら言ったのに、
真剣な表情をしてかえされたから、
びっくりしつつ、
誰かに心配してもらってる
ということが嬉しかった。



「そ、そんなことないけど?
大丈夫だよ!
一緒にいてくれる友だちもいるし!
お見舞いにも何度も来てくれたんだ。」



「そーか。
ならいいんだ。」



そう言いながら私の頭を
優しく撫でてくれる蒼。
そして、私は、猛烈な安堵感に包まれる。



「案外さ、楽しみなんだよね。」



「何が?」



「学校行くの。
私の友だち、一週間に一度ぐらいの
割合で喋りに来てくれたんだけどさ。



病室より、学校のが楽しく話せるじゃん?
ギャーギャー騒げるし!
早くみんなと話したいんだよね!



今、私がまだ、生きてるのは、
その子たちのおかげって言っても、
過言じゃない。



もちろん、蒼が助けてくれたから、
今、生きてるわけだけど、
親戚の人に嫌味を言われながらでも
死にたいと思いながらでも
自殺したりせず、生きられたのは、
その子たちのおかげだから…。



親戚の人たちのことについて
その子たちに相談はしてないけど、
どーでもいい話をして盛り上がって、
元気になれたのは確かだから。」



「そっか。
そんな友だちがいるなら安心だ。
何かあれば、すぐ言えよ。



海を守ってやるから。」



「ありがと。」



―嘘でも嬉しかった。



私を心配して、
『守ってやる。』
嘘でもそう言ってくれる人が
いることが…。