仕事で疲れてるのに、
『俺も手伝ってやる。』
―って偉そうにいいながら、
夕食作りを手伝ってくれた蒼。



なんだかんだ言って、
優しいんだから…。



―さっきは卑怯なマネをしたと思う。



泣いて誰かに許しを乞うなんて、
子どもじゃないのに…。
本当に私、幼稚だよ…。



そう思っていたけれど、
涙は止められなかった。



すごく、すごく、すごく、
寂しかったんだ…。



誰かに嫌われることには慣れている。
そういう知り合いがいっぱいいたから…。



だけど、蒼に嫌われるのは、
本当に、嫌だったんだ。



ケンカも嫌だった。
蒼が私を見てくれないのも、
話を聞いてくれないのも、
喋ってくれないのも、
嫌だった。



それは、多分、
―蒼を一番、信頼してるから―
だと思う。



私を助けてくれて、
守ると言ってくれた彼を…。



―――――――――――――――――



「ああー!!忘れてたー!!」



「んだよ、うっせーな…。」



只今、蒼の膝の上。



何度、離せと言ったか、わからない。
けど、どう頑張っても、
離してくれなかった。
もう、いい加減、諦めました。
…それに今は何故だか、心地良い。



何故か、安心できるんだ。



だから、
もう抵抗することは止めました。



―ところで!!



何を忘れてたかと言いますと。



「明日、学校だー!!!」



「アレ?今、夏休みじゃないの?」



「夏休みだよ!夏休み!!
だけどね、明日は登校日なんだ。
どーせ、
ワックスがけの手伝いだよ。」



「へー。そーなんだー。
行ってらー。」



「行ってきー。」



なんか、語尾を伸ばすの、楽しい(笑)



―前日にこんな呑気な会話をしていた私が、
翌日、地獄をみるとは
思いもよらなかった…。