「いつまでするつもり?」



「えっ…あっ…うっ…うわっ!!」



俺は海を抱き上げた。
慌てながら暴れる海を
ベッドへと移動させる。



「明日はフツーに仕事あるから、
早く寝たいんだけど?」



「えっ…、あっ…、ごめん…。」



「わかればよろしい。ほら、寝るよ。」



そう言って、
俺は海を抱き締めて
眠りにつこうとした。



「………いやいや。」



「……………。」



「……………いやいや。」



「……………。」



「……………いやいや。
ちょっと待とうか、先生よ!!」



「……………んだよ、うるさいな。」



「うるさいじゃねー!!
この状況、いろいろおかしいだろ!!」



「いーじゃん。
何もしないからさ。今は。」



「『今は。』ってナニ!??」



「未来はわからないってこと。」



「意味わかんない!!!
とりあえず、離せ!!」



「何で?」



「は?」



「何で離さなきゃいけないの?」



「え………。いや、それは………、」



「いーじゃん。別に。
このまま寝ようよ。
心配しなくても
寝込み襲う趣味はないから。」



「え、でもっ…、」



「何?
ひょっとして、
『俺をオトコとして見てるから、
緊張して、眠れない。』…とか?」



意地悪く笑いながらそう言えば、



「そんなんじゃないもん!」



―予想通りの解答。



「じゃ、いいよね。
もう、そろそろ寝かせてね。
明日に支障が出るから。」



―俺は海をしっかり抱き締めた。
海は後悔と諦めを
感じさせる一息を吐くと、
眠る態勢を整えた。


「おやすみなさい。」



眠り込む寸前、俺は、
海の安心したかのような
落ち着いた声を聞いた。