そんな時。



「私、退院しても、
行く場所がないんだ。」



そう少し、落ち込んで話した海。




俺が話を持ち掛けるようになってから、
少しずつ本心を
打ち明けてくれるようになった彼女。



これは今後の将来について
初めて聞いた、
海の本音だった………。



「そうか。
こっちでも、考えてみるよ。」



…このままだと、多分、海は、
孤児院に送られる。



―なんとかならないか。



そう思っていたら…。



「先生の家は?」



「え?」



唐突にそんなことを言い出した彼女。
少し、彼女が言ってる意味を
理解できなかった。



「ダメ?」



無意識なのか、確信犯なのか。




まさに女の色気を漂わせ、
誘惑するような口振りと上目遣いを
巧みに使う。



俺はそんな彼女に
クラクラと酔わされそうになっていた。



「もう!先生!!
冗談だよ、冗談!!」



そう言って、
俺の背中をバシバシと叩いた。



「ハハ…。冗談だよな。」



そう言って、その場を凌いだ俺はバカ。
マジ、コイツを
連れて行くと言えば良かった。



でも、この会話のお陰で
妙案が浮かんだ。