もう、嫌。



神様、仏様が本当にいるのなら。

何で、私だけ生き残らせたの?

何で、私の大切な両親を奪ったの?

何で、私の最強最高の親友とその家族を奪ったの?




「全てに置いて行かれた。
………私も死にたい。」




「ったく。また言ってやがる。」



独り言に文句を言って来たのは、
私の主治医、岬 蒼 【ミサキ アオ】先生。



「死にたくなるでしょ。そりゃ。
大切な人を亡くして、
一人になっちゃったんだから。」



「ふざけんな。
俺がどんな思いで必死になって
助けたと思ってるんだよ。」



―実は私も死にかけた。



飛行機が墜落する直前から、
その機の動きがおかしく、
何かが起こったと予測した
空港の職員たちと
警察と医療関係者が動き、
いつでも人命救助ができる状態を整え、
墜落してすぐに救助が始まった。



私以外にも助かった人々は何人かいる。



―私は、死にかけていたそうだ。



よく、状況はわからないが、
たまたま岬先生が私を受けもって、
死にかけた私を助け、
今までと変わらないぐらいの
回復をさせた。………だけど。



「そのまま死なせてくれたら
良かったのに。」



「バカ言うな。
死にかけてるけど、
『なんとかなる。』
―と、望みがある人間を見捨てることが
医者の俺にできると思うか?」



「……………。」