15才幼年兵のガウリは級友たちと
狂おしいまでに心が高ぶった。何時の
日か必ずカシミールの地を取り返すのだと。

それから3年、その戦いの日は来た。
1965年5月、第二次印パ戦争が始まったのだ。

18才のガウリは見習士官として東部戦線の
後方補給基地の任務に着いた。だがしかし戦闘
らしい戦闘はまったくなくすぐに戦争は終結した。

最前線はインド軍とパキスタン軍が一進一退を
繰り返していたが、パキスタン軍が攻勢を
仕掛けたところで停戦となった。

ソ連を中心とした国連決議が可決されたのだ。
開戦前の実効支配ラインまで撤退し、
両軍は兵を引き上げた。

ガウリは実戦に参加できなかった悔しさと、
カシミールわが故郷カルギルの町を
奪還どころか見渡すこともできなかった。
そのもどかしさだけが心に残った。

今は耐えるしかない。じっと時が来るまで
身体と精神を鍛えに鍛える時だ。ラマダンを
控えガウリは真摯に神に祈った。