10月にはいってすぐにドイツのキーツカーンから
オーストラリアで光る石が発見されたという情報が届いた。

オーストラリア中央部にあるエアーズロック付近を
パトロールしていた国立公園の警備員ポールモーガン
が砂漠に輝く光る石を夕暮れの薄明かりの中で発見した。

自宅に持ち帰ったところすぐにうわさが立ち、新聞記者が
訪ねてきて写真を撮って帰った。9月11日のことだ。

翌日地方新聞の片隅に写真入で出ていたこの記事がちょうど
オーストラリアを旅していた英国人の目に留まった。

彼には大英博物館で光る石のコーナーの責任者をしている
友人がいた。この記事を送るとその友人は大いに喜んで
キーツカーンに送ってよこしたのだ。

オサムオサナイはその住所に電話をいれた。まだ若い
青年の声がして本人だった。石は家に飾ってあるという。

オサムオサナイは詳しく事情を説明して、石が青黒く
不気味に輝くことがあったら真剣にナムストーンと
光が鎮まるまで唱え続けてくださいと依頼した。

「ナムストーン?」
「そうです。ナムストーン。できれば声に出して叫び続けてください」
「分かりました。その時はナムストーンと唱え続けてみます」