キミさえいれば

コンビニのバイトを辞めろと言うと、凛はすごく悲しそうな目をした。


「兄貴の事を探したいのはわかるけど。

でも俺は、凛の方が心配だから」


もう二度と、あんな目に遭わせたくないんだ。


「でも、先輩。

そしたらもう先輩と一緒に帰れないでしょう?

学校帰りも、バイト帰りも。

私、それがイヤなんです……」


「え……?」


それって……。


「私、少しでも先輩と一緒にいたいんです」


「凛……」


俺は凛のそばに行って、そっと肩を抱き寄せた。


あぁ……、凛って可愛すぎる……。


「そうか。

俺と一緒にいたかったんだ。

嬉しいよ。

そんなふうに思ってくれて……。

じゃあ凛、こうしよう。

これからはバイトが終わったら、コンビニで待ってて。

俺が迎えに行くから。

それなら店長もいるし、安心だろ?」


俺がそう言うと凛がホッと安心した顔をしたから、俺もなんだかホッとした。


「先輩……。

さっき私、もうダメかと思いました……。

本当に……、怖かった……」


そう言って体を震わせる凛を、俺はそっと抱き寄せた。


「大丈夫だよ、凜。俺がいる。もう心配ないよ」


そう言うと凛は、俺の腕の中で何度も頷いた。