キミさえいれば

中に入るとベッドと本棚と、小さな机がポツンと置かれていた。


女の子の部屋にしては、随分シンプルで寂しい部屋だなと思った。


「あ、何も出してなくてごめんなさい。何か飲み物持って来ます」


「いいよ、凛。

俺が取って来るから。

冷蔵庫開けていい?」


「はい。中にオレンジジュースがあるので」


「わかった。取ってくる」


俺は台所へ行って冷蔵庫を開けた。


冷蔵庫の中は部屋同様に綺麗に整頓されていた。


食材も色々入っていて、きちんと料理をしている証拠だと思った。


俺はオレンジジュースを出すと、食器棚からグラスを二つ取り出して凛の部屋へと戻った。


部屋に戻ると、早速二人でオレンジジュースを口にした。


凛はやっぱり相当ショックだったようで、あまり元気がなかった。


「凛、大丈夫?」


大丈夫なわけないだろうけど。


「はい、大丈夫ですよ」


気丈に振舞おうとする凛がいじらしい。


「凛。

あのコンビニのバイトはすぐにでも辞めろ。

店長ももう事情がわかってるんだし。

前から心配だったんだ。

あの辺りは暗い通りだから」


「先輩……」