キミさえいれば

それにしても、凛はここで毎晩ひとりで寝ているのか。


心細いだろうな。


そう思うと、胸がギュッと締め付けられた。


凛は中学の頃からいじめに遭っていたと言っていた。


友達もいなくて、つらかったと。


あれだけの容姿で嫉妬の対象になるのはわかるけど、多分そのほとんどは母親の職業と、このアパートのせいじゃないかなと俺は感じた。


子供よりも大人がそういう偏見を持っているんだ。


おそらく凛とは関わるな、遊ぶなと、子供に言ったりするんだろう。


部屋がこんなに整頓されていて、清潔にしてあるって事は、きっと良いお母さんなんだ。


凛の性格から言って、悪い母親に育てられたとは到底思えないしな。


きっとそれしか他に稼ぐ手立てが無くて、仕方なくその職業に就いているに違いないんだ。


凛が不憫で仕方がない。


俺が絶対守ってやる。


この先、何があってもずっと……。


そんなことを思っていたら、凛がお風呂から出て来た。


ピンク色のパジャマを着た凛は天使みたいに可愛くて、ドキドキしてしまう。


「先輩。こちらへどうぞ」


凛は襖を開けて、自分の部屋へと案内してくれた。