夏休みに入り、俺と凛は会えない日々が続いた。


俺は学校の補習、塾、補習、塾の繰り返しで、勉強漬けの毎日だった。


だけど、週に3日は合気道の道場に通った。


練習帰りに、凛のバイト先のコンビニの前を通った。


昼間、ここで凛がバイトをしていたんだと思うと、胸がギュッと痛くなった。


凛に会いたくてたまらなかった。

 
そんな夏休みも残すところ一週間となった頃、凛からメッセージが入った。


コンビニのバイトが夕方からになったと。


俺はすぐ、帰りに会おうと返信をした。


やっと凛に会える……!

 
それが嬉しくて、今日の俺は朝から絶好調だった。


21時過ぎに練習が終わると、急いで着替えて道場の外へ出た。


だけど、凛の姿はなかった。


おかしいな……。


いつもなら凛がここで待っていてくれるのに。


まだバイトが終わってないのかな?


俺はコンビニへと歩きながら、スマホを取り出して凛に電話をかけた。


すると、近くで凛のスマホの着信音が聞こえて来た。


なんだ。


こっちへ向かってるんだ。


そう思って足早に音のする方に向かうと……。


「……っ」


俺は有り得ない光景に目を疑った。


ビルの前の駐車スペースに、凛のカバンが落ちていて、その横に自転車が倒れている。


「凛……?」