キミさえいれば

お肉屋さんに着くと、早速コロッケを購入する先輩。


「はい、これ」


そう言って、紙の袋に入ったコロッケを手渡された。


「あの、いくらですか?」


「あー、いいよ。80円だし」


「あ、ありがとうございます」


すごい。


揚げたてなのに80円なんだ。


私達は店舗の前に置いてあるベンチに腰を下ろした。


「いただきまーす」


そう言って先輩がコロッケを頬張る。


「あっつ。でも、うま」


先輩の食べる姿が可愛くて、つい目が向いてしまう。


「白石って猫舌?」


「いえ、そんなことは」


「それなら早く食べてみて。本当にうまいんだから」


先輩の言葉にクスッと笑って、私もコロッケをかじった。


サクッとした衣の中から、ホクホクのじゃがいもと、ジューシーな肉の脂が溢れてくる。


「わ、これおいしい」


思わず声が出た。


「気に入った?

もう一個食べる?」


「あ、いえ。一個で充分です」


「そっか。俺はメンチカツも食うけどねー」


あっと言う間にコロッケをたいらげた先輩が、今度はメンチカツを頬張る。


おいしそうに食べる姿に、心がほっこりしてしまう。