キミさえいれば

先に仕事が終わった私は、ガタンと席を立った。


「それじゃあ、あの……。お先に失礼します」


そう言ってカバンを手にすると。


「白石、待って」


先輩に呼び止められた。


「俺ももうすぐ終わるから、一緒に帰ろう」


一緒にって言われて、胸の鼓動がトクンと音を立てる。


「はい」

 
しばらくすると先輩も作業が終わって、私達は生徒会室を後にした。


「もうこんなに暗いしさ。一人で帰すのは心配だから」


最近日が暮れるのがとても早くて、17時を過ぎると真っ暗になってしまう。


先輩と一緒に学校から帰るのは初めてで、私はなんだかドキドキしていた。


「学校から離れるまで、二人乗りはやめておこうな」


先輩が言った。


確かに生徒会役員が二人乗りしているところを誰かに見られたらまずいよね。


私達はしばらく横並びに歩いた。


こうして並んで歩いていると、先輩ってすごく背が高い。

 
私は161cmだけど、先輩はどう見ても175cmとか、いや、それ以上はありそうな感じ。


「ねぇ、白石。お腹空かない?」


「え?」


そう言われてみれば、ちょっと空いている気はするけど。


「もう少し行った先に、肉屋があるだろ?

あそこのコロッケがすごくおいしいんだ。寄って行こう」


コロッケって……。


先輩ってなんか可愛い。


ーというわけで。


私達は、そのお肉屋さんへと向かった。