キミさえいれば

「凛。里穂」


細いストライプのシャツに、紺のブレザーを着たたもっちゃんが手を振る。


「パパー」


すると里穂が、たもっちゃんに駆け寄ってしがみついた。


「どうして私がここにいるってわかったの?」


「さっき佐々木さんのお店に寄ったんだ。

そうしたら、保育所に迎えに行ったって言うから」


「今日はもっと遅くに来るんだと思ってた」


「早めに出て来たんだ。

早く二人に会いたかったからね」


「パパー、早く栄子ママのおうちに帰ろう」


「うん、帰ろうな」


そう言ってたもっちゃんは里穂を抱き上げた。


「こんにちは。里穂ちゃんのお父さんですか?」


駒沢先生がまじまじとたもっちゃんを見つめている。


「はい。いつも里穂がお世話になっています」


たもっちゃんは礼儀正しく頭を下げた。


「里穂ちゃんのパパはイケメンだねー。

いいねー、里穂ちゃんは。

パパとママが美男美女で」


「びなんびじょって?」


里穂には意味がわからないようだ。


「素敵なパパとママだねって言ったのよ」


先生の言葉に、里穂は嬉しそうに笑った。