佐々木さんは、この飲食店のオーナーシェフで。


母さんはここでスタッフをしている。


もともと母さんは商店街の青果店で仕事をしていて。


そこに野菜を仕入れに来る佐々木さんと、よく顔を合わせていた。


それがご縁でこのお店に足を運んだ母さんは、料理のことで佐々木さんと意気投合してしまって。


それがきっかけで、母さんはここのスタッフになったというわけだ。


母さんは料理上手だし、佐々木さんはすごく助かっているそうだ。


私も週に何度も足を運んでは、夕飯を食べて帰ったりしている。


その時、チリンと入口の扉が開いた。


「あらー、凛。来てたの?」


「うん。

あ、母さん。

このケーキすごくおいしいよ」


「ホント? ありがとう」


そう言いながら、母さんは足早にカウンターへと入った。


「佐々木君、これで良かったのかな?」


「はい、大丈夫です。ありがとうございました」


母さんはどうやら足りない食材を買いに走っていたようだ。