「あー、うまーい」


チキンを幸せそうに食べるはなちゃんも、パッツン前髪にカラフルなAラインのワンピース姿で。


キャンパス内で歩くと目立たないけど、一歩外へ出れば多くの人が振り返る。


芸術大は、私にとってすごく居心地の良い環境だった。


「もう少しで卒業だね」


「うん」


そんな楽しかった短大生活も、あと数日で終わりを迎える。


「はなちゃんは卒業後、どうするんだっけ?」


「あたしは地元に帰るよー。

アパレル関係の会社に就職さー」


「アパレルかぁ。

はなちゃんお洒落だし、合いそうだねー」


「ま、店頭での販売だけどねー。

凛も地元に帰るんだっけ」


「あ、うん。帰るよ」


「そっかぁ。

凛の地元はうちの地元からは遠いし、なかなか会えなくなるねぇ」


「そうだね……」


「そうしんみりしなさんなって。

また絶対会いに行くから」


「うん」


この笑顔に何度救われたかな。


はなちゃんは短大時代の一番の親友だ。