キミさえいれば

「凛が死んだら、俺は生きていく意味なんかないんだ。

すぐに後を追ってたよ……」


そんな……。


「ダメだよ。

後を追ったりしたら。

私……先輩には普通の恋愛をして、普通に結婚して幸せになってもらいたかったの。

もう二度と、苦しまなくていいように……」


堂々とお日様の下を、愛する奥さんと子供と手をつないで……。


「何言ってんだよ、凛。

俺が凛なしで幸せになれるわけないだろう?

ここにいる父さんも母さんも、凛が死んだら誰ひとり幸せにはなれないんだ……」


誰ひとり……?


先輩は私の手をそっと両手で包み込んだ。


「だから凛……。

生きろ」


真剣に話す先輩の瞳がすごく綺麗で。


私の涙は止まらない。


「凛。

助かったって事は、凛は生きなきゃダメなんだ。

どんなにつらくても、強く生きなきゃ。

お腹の子への罪なら、俺も一緒に背負う。

だから、生きて償おう。凛」


「先輩……」


私、すごく自分勝手だった。


死ぬ事で罪悪感から逃げようとしていた。


そんなこと、誰も望んでないのに……。


きっと、このお腹の子も……。


「ごめんなさい。

本当に、ごめんなさい……っ」


私の言葉に、優しく微笑む先輩。


その瞳には涙が光っていた。


その時。


「栄子……」


病室にお父さんの声が響いた。