キミさえいれば

「栄子……。落ち着いて……」


父さんが母さんのそばに寄り、そっと背中に手を置いた。


「今はとにかく、凛の命が何よりも大切だ。

あの子の無事を祈ろう」


父さんの言葉に、母さんが数回頷いた。


その時だった。


「黒崎さん」


女性の声が聞こえた。


振り返ると、廊下に看護師さんが立っていた。


「娘さんが目を覚ましました。
今から一般病棟に移りますよ」


その言葉に、俺と父さんと母さんは顔を見合わせた。


慌てて廊下に出ると、凛が寝ていると思われるベッドが、病室に運ばれていた。


俺と父さんと母さんは、急いで凛が入る病室へと向かった。


そこは一人部屋らしく、俺達は入口の外で待った。


しばらくすると、中から看護師さんが二人出て来た。


「良かったですね。意識が回復されて。

しばらく経過を見て、異常がなければ数日で退院出来ますよ」


ベッドを運んだ看護師さんがにっこり笑った。


その言葉に、俺はホッと安堵のため息を漏らした。


俺達は三人で、病室の中へと入った。