キミさえいれば

俺は椅子から立ち上がると、床に膝を立てた。


正座をし、両手を膝の前に揃えた。


「母さん、ごめんなさい。

妹を愛して、ごめんなさい……」


俺は深く頭を下げた。


愛してはいけなかった。


一線を越えてはいけなかった。


だけど……。


愛さずにはいられなかったんだ……│。


「保! 土下座なんてやめなさい!」


父さんが俺の身体を起こそうと近づいて来たけど、俺はそのまま頭を上げなかった。


俺の頭上から、母さんのすすり泣く声が聞こえる。


「凛が死んだら、私どうしたらいいの?

凛……。

どうして自殺なんか。

どうして……」


母さんは顔を両手で押さえたまま、俺の目の前に座り込んでしまった。


「私がいけなかったの……?

保とは兄妹でいなさいって、念を押したから。

でも、もうその時には恋人同士だったから、それで凛は苦しくなって。

あの子は逃げ場がなくなってしまったんだわ。

私が、あの子を追い込んでしまったのよ……!」

 
母さんはそう言って、泣き崩れた。