俺は事務の人にタクシーを呼んでもらうと、急いで着替えを済ませて松岡病院へと急いだ。


夜間受付の人に、凛は集中治療室にいると教えられた。


3階のナースステーションの横だと聞き、俺は急いでその場所へと向かった。


看護師さんに身内だと伝えると、俺を中に入れてくれた。


入る前にマスクをつけ、指定された上着を着るように言われた。

 
手を消毒し、スリッパに履き替えると、俺は中へと入った。


中に入ると父さんがいて、その向こうにベッドに横たわる凛の姿が見えた。


凛は酸素マスクをつけられていた。


「父さん、凛は?」


「うん……。

幸い発見が早かったのと、発見した人が適切な処置をしてくださったんだ。

でも、このまま意識が戻らないとまずいらしい……」


きゅっと目を細める父さんに、俺の胸は締め付けられた。


「そ、んな……」


凛……。


いやだ……。


凛が死ぬなんて、そんなの……。


ベッドの横で父さんと立ち尽くしていると、ナースステーションからドクターが入って来た。


「すみません。ちょっとよろしいですか?」


ドクターの言葉に、父さんが頷いた。


「あの、娘さんは妊娠されているようなんですが。

ご存知でしたか……?」