キミさえいれば

次の日の日曜日、母さんは仕事がお休みだから、一日中家に居た。


顔色が悪くてベッドからなかなか起きて来ない私を心配して、母さんは私が食べられそうなものを色々と買って来てくれた。


私は果物とヨーグルトを、少しだけ食べた。


「ねぇ、母さん」


「ん?」


「母さん。今、幸せ?」


「どうしたの? 急に」


「ちょっと聞いてみたくて……」


私がそう言うと、母さんはクスッと笑った。


「凛とこうして一緒に暮らせてるんだもの。

それだけで母さんは幸せよ」


「母さん……」


母さんは、何不自由ない幸せな生活を捨てて、私の為に全てを犠牲にしてくれた。


それなのに私は、母さんを裏切ってしまった。


こんなに一生懸命、私を育ててくれたのに……。


「ごめんね、母さん」


「どうしたの?」


「色々……」


「何言ってんの。変な子ねぇ。

やっぱりちょっと調子が悪いのかしらね。

明日は学校を休んだ方がいいかもしれないわよ」


母さんは特に気にも留めず、お皿とヨーグルトの容器を片付けに流し台へ行った。


母さん。


ごめんね……。


妊娠なんてしてしまって。


本当に、本当にごめんなさい……。