キミさえいれば





 早いもので暦は12月になっていて。


引越しが間近に迫っていた。


昨夜、お父さんが母さんのお店に行ったと先輩からメッセージが届いた。


朝は会えなかったから、今から母さんと対面することになる。


母さんは一体、何て言うのだろう。


「ただいま」

 
靴を脱いで引き戸を開けると、母さんがテレビのある部屋に座って私の帰りを待っていた。


「おかえり、凛」


怒っているかと思ったけど、母さんは落ち着いた様子だった。


「そこに座って」


私は言われるまま、お母さんの向かいに腰を下ろした。


「知ってると思うけど。

昨日、お父さんがお店に来たわ」


「……うん」


窓の向こうから、灯油を売るトラックの音が響いてくる。


その音がやけに大きくて、私達はしばらく沈黙を続けた。


「凛」


「ん?」


「凛は、お父さんの家の子になりたいの?」


母さんの言葉に、チクッと胸が痛くなった。


「そういうわけじゃないんだけど……。

私……お父さんともお兄ちゃんとも、もう離れたくなくて……」


どうしよう。


声が震えてしまう。