キミさえいれば

私と先輩は服を着ると、リビングでお父さんの帰りを待った。


なんでもこの家はお父さんの方が早く帰って来るらしく、奥さんは大抵遅い時間に戻って来るのだとか。


ちなみにお父さんは奥さんの会社で、事務の仕事をしているそうだ。


先輩の家のリビングはとても広くて、窓もとても大きい。


私と先輩はベージュのゆったりしたソファに横並びに腰掛け、おしゃべりをしながらのんびり過ごした。


そして、時計の針が19時を少し過ぎた頃だった。



窓の向こうに人の歩く気配を感じた。


しばらくすると玄関のドアが開く音がして、その数秒後、リビングの扉がガチャンと開かれた。


「ただいま」


スーツを着たお父さんがリビングに入って来た。


「おかえりなさい」


にっこり笑って出迎えると、お父さんがビックリして目を見開いた。


「玄関にあった女の子の靴は、凛のだったんだ。

保が彼女でも連れて来たのかと思って、ドキドキしたよ」


彼女……か。


その彼女は私です、とは絶対に言えないよね……。


「凛、来てくれて嬉しいよ。

ずっと招待したいと思ってたんだ。

保、凛を連れてきてくれてありがとな」


嬉しそうなお父さんの言葉に、先輩はちょっと恥ずかしそうに口元を緩めた。