家の中に入ってからも、私は驚きの連続だった。


白を基調とした大理石の玄関も廊下も、弧を描いた階段も、全てが美しくとてもお洒落だ。


「凛、俺の部屋に行こうか」


私は言われるまま、先輩の後ろに付いて2階に上がった。


こげ茶色のドアをカチャンと開けると。


「わぁ……」


真っ白い壁に栄える少し大きめの深い茶色のベッド。


それと同じ色調の、美しい光沢の勉強机。


壁には飾り棚がところどころにあって、そこに置かれた小物もとてもお洒落な雰囲気だ。


「先輩。とても高校生の部屋とは思えないよ」


モノトーンでまとめられていて、とても落ち着いている。


「あぁ、これな。今の母親の趣味だよ。

俺の好みなんて一切無視されてるよ。

まぁ仕事柄センスが良いし、反論の余地無しって感じで」


そう言えば、母さんが言ってたな。


先輩の新しいお母さんは、建設会社の女社長だって……。


きっと、やり手なんだろうな。


全てがすご過ぎて、部屋の中をキョロキョロと見ていたら、急にふわっと身体が揺れた。


気がつけば私は、後ろから先輩に抱きしめられていた。