キミさえいれば

「凛」


眼鏡をかけていないたもっちゃんの澄んだ瞳はとても綺麗で、兄だとわかっていても見とれてしまう。


「もう学校へ来ても大丈夫なの?」


私がそう言うと、たもっちゃんが突然私の手を取った。


「ちょっと話があるんだ」


「えっ?」


戸惑う私の事などおかまいなしに、たもっちゃんは私の手を引いて歩き始めた。


眼鏡をかけていないカッコイイたもっちゃんに、女の子達の視線が集中する。


私もなぜかドキドキしていた。



たもっちゃんが私を連れて行ったのは、以前先輩と話をした非常階段で。


どうしてたもっちゃんが、この場所を知っているんだろう?


たもっちゃんは階段の手すりに両肘をもたれて、私をじっと見つめている。


その顔があまりに優しくて綺麗で、真っ直ぐ見るのが恥ずかしくなってしまう。