キミさえいれば

意識を取り戻したたもっちゃんは、外傷も少ないため、すぐに退院になった。


記憶が戻った事をお父さんはとても喜んでいたけれど、中2から高3までの記憶がないたもっちゃんにとっては全てが戸惑う事ばかりで、すぐに学校へ通える状態ではなかった。


しばらく専門医に相談しながら、経過を観察するという事になってしまった。


私はあれ以来、たもっちゃんには会っていない。


時折お父さんから、『保が凛に会いたがってる』とメッセージをもらっていたけれど、私はどうしても会いに行く気にはなれなかった。


会えば先輩を思い出してしまうし、自分の気持ちが整理出来るまで、たもっちゃんに会わない方がいいと思った。