キミさえいれば

「その息子さんがもしかしたら凛の彼氏かもしれないって思って、お客さんに色々聞いてみたの。

そしたら、凛と同じ高校で高3だって言うから、その子に間違いないってすぐにわかったの。

カッコイイだけじゃなくて、スポーツ万能で頭もすごく良いって聞いたわ。

そこまでは、すごく嬉しかったんだけど……」


はぁとため息をつく母さん。


「名前が保だって言うじゃない。

母さんも最初はピンと来てなかったの。

偶然、同じ名前なのかなって思ったくらいで。

だけど、その彼のお父さんの名前を聞いて、ビックリしたの」


テーブルに視線を落とす母さんを見ながら、私はゴクンと息を飲んだ。


「黒崎洋二だと聞いたわ……」


思わずぎゅっと目を閉じた。

 
洋二……。




それは紛れもなく。





お父さんの名前だ……。