キミさえいれば

「てめぇ……」


拳に力が入る。


もう、どうしようもないくらいに。


ビックリした顔で俺を見つめる藤堂。


俺はつかつかと藤堂のそばへと向かうと、凛にまたがっている藤堂を思いっきり蹴り飛ばした。


その勢いがあまりに強かったせいか、藤堂が横に吹っ飛んでしまった。


「お前、絶対許さねぇ……!」


俺はもう完全に頭に血が昇っていた。


「いってぇなあ、おい」


ムクッと起き上がって殴りかかってくる藤堂に、“正面打ち入り身投げ”を食らわす。


するとデカイ藤堂が、いとも簡単に仰向けに倒れた。


あまりの早業に、きょとんとする藤堂。


それでもまた起き上がって殴りかかって来たから、“正面打ち一教”で腕を押さえ込んだ。


なかなか強いヤツではあったが、もうこうなるとコイツは身動きすら取れない。


「先輩!」


ドアの付近で田辺の声がした。


「来るなっ!」


俺の叫び声に田辺が「えっ?」と声を上げる。


「久保田だけ入って来い」


俺がそう言うと、田辺は入口で足を止め、久保田が中に入って来た。


「久保田。凛を頼む……」


俺は久保田に目配せした。


「え……? あっ、凛!」


久保田は走って来ると、すぐに凛の衣類をかき集め始めた。


「ひどい……。ひどいよ、藤堂君」


涙目で藤堂を睨みつける久保田に、俺の胸がぎゅっと締め付けられた。