ハヤト君が向かったのは、なぜか体育館で。


いつもなら運動部が練習をしているのだけれど、試験発表中の今は部活がないから、ガランとして誰もいなかった。


ハヤト君は私の手を取ると、外履きのまま体育館の中をずんずんと引っ張って行く。


そして体育倉庫の扉を開けると、その中に入って扉を閉めた。


「ね、ねぇ。

どうしてこんなところへ来たの?」


私がそう尋ねると、ハヤト君がニヤリと笑った。


「お前、何でもするって言ったよな」


「え……?」


「どういうことか、全然ピンと来てねぇんだな。

ほんっと鈍いヤツ」


え……?


どういう意味…?


ハヤト君は持っていたカバンを床に落とすと、私の腕をぐいっと引いた。


そして、乱暴に私をマットの上へとほおリ投げた。


膝を着いて、私に覆いかぶさるハヤト君。


一気に顔の距離が近づいた。


「俺の条件はこれだよ。

いくら鈍いお前でも、もうわかっただろ?」


心臓からドクドクと大量に血液が出たような感覚が走る。


「覚悟はいいか?」


ハヤト君はそう言うと、すかさず私の唇を塞いだ。