「凛。

親父が言うには俺、一生記憶が戻らないかもしれないんだって。

それならもう、それでいいかなって思うんだ。

凛は兄貴に会いたいかもしれないけど……」


「先輩……」


そうなんだ……。


もしかしたら一生記憶が戻らないかもしれないんだ……。


「無事だったんならいいんです。

お父さんの所在もわかったし。

もうそれ以上、何も望まない。

先輩さえいてくれたら、私……」


「凛……」


先輩はせつなそうに私を呼ぶと、私の唇に自分の唇を重ねた。


重なるとすぐに私達は深いキスを交わし始めて、さっきと同様に再び狂ったように全身で愛し合った。


先輩が好き……。


先輩を失うくらいなら、私も死んだ方がマシだ。


たとえ兄だとしても。


ただ普通にそばにいるだけなんて、もう無理。


こうしてキスを交わして、体を重ねて。


そんなふうに、ずっと愛し合って生きていきたいの……。