先輩の言葉に、私の動きは封じ込められた。


先輩、知ってる……?


ゆっくりと扉を開けると、息を切らした先輩が、泣きそうな顔で立っていた。


「凛……」


玄関に入って来る先輩。


入って来るなり、強く抱きしめられた。


「凛、あいたかった……!」


「せん、ぱい……」


先輩の言葉に、やっと乾いた目がまた涙で濡れていく。


「凛。

お前、気づいたんだろう?

俺が兄貴だって。

だから、俺から身を引いたんだ。

俺を嫌いになったわけじゃないんだろう?

兄貴だから……。

そうだよな?」


先輩の言葉に、私は何度も頷いた。


「そうだよ。

お兄ちゃんだから、いけないことだと思ったの……」


先輩が、私を抱きしめる腕にますます力を込める。


私も先輩に必死にしがみついた。


「凛。

俺、凛が好き。

妹でもいい。

お前以外、考えられない!」


「だ、だめだよ。

私達、血が繋がってるんだよ。

そんなの絶対許されない」


結婚も出来ないし。


誰一人、私達を祝福してくれる人なんていないのに……。


「それでもいい。

お前と別れるくらいなら、死んだ方がマシだ」


「先輩……」