緋色の魅薬

「警察がかぎつけたようだ。急いで『倉庫』に向かえ。お前も大変だろうが、捕まるわけにはいかない」



明は『捕まる』という言葉にビクリと身を震わせた。

「各自自宅で保存、明後日別の『倉庫』に移す。くれぐれも見付からないようにな……」


そうメッセージを残して、電話は乱暴に受話器を置かれて切れた。


「どういう事……?」


明はそう呟くと、留守電の再生ボタンを押した。

再び、低い男性の声が流れる。



……どう考えても、春樹の関係者が危険であるようにしか聞こえなかった。


もしかしたら、春樹が捕まるかもしれない。

そう思うと、明は不安に押し潰されそうになった。


「どうしよう……」


何をすべきなのか判らず、明は途方に暮れた。


そして、何かを思い付いて、明は自分の部屋にとんでいった。


部屋には、県から配られた薬物乱用防止のプリントがある。

しかも、今日配られたものだけではなくて、ずっと前に貰ったものもある。


合計三枚のプリントを見付けだし、明は部屋の手動シュレッダーを手にとった。