小学校のとき、よそから転校してきた彼女は折り紙でカーネーションを作れた。

僕はそれが珍しくて、隣の席になれたときはここぞとばかりにカーネーションの作り方を聞いた。そんなもの、もちろんカモフラージュだった……。


中学に上がって、彼女がほかの男と付き合い出したとき、僕は泣いた。

高校は別々になってしまった。



今、彼女は僕のネクタイを結んでくれるのが日課になっている。そして子どもと一緒に折り紙でカーネーションを作る。

僕はもう、作り方なんて忘れてしまったけど、もし覚えていたなら、彼女と二人で子どもに教えてやれたのだろうか。

「お父さんとお母さんが、お前に出逢うために出逢ったきっかけなんだよ」なんて言いながら。


ちょっと難しい話かな。