実験体が恋をした



「あら、遅かったわね」


白衣の似合う、

黒髪の女性だった。


しかも、見たことがあって。



「博士!?」


「・・知り合いですか?」


柚我君が聞いた。


その人は首を振った。



「いいえ。

 たぶん、あなたが知っているのは、

 妹よ。

 有野 花蓮(アリノ カレン)

        でしょ」


「あ、はい。
 
 では、あなたは?」



確かに、言われてみれば、

微かに雰囲気が違う。




「私は、花蓮の双子の姉、

 有野 優希(アリノ ユウキ)

 よ。よろしくね」



ウインクしながら言った。


「母さん、早く写真頂戴」



・・・・母さん!?



隣を見ると、千尋も目を点にしていた。