あのとき、好きになんてならなければよかったんだ…。
「先輩ー!!」
雲ひとつない晴れた空のしたで私は先輩をよんだ。彼は陸上部の長距離のエースと呼ばれている青木優也。
「おう、そこにひもあるから転ぶなよ?」
「わかってますよーだ!……ドデッ」
「ほらいっただろ?」
「痛いです…。」
「みしてみ?あぁ、擦りむいてるわ。」
「保健室行ってきます…。」
「また転んだりするなよ?」
「わかってますー!」
先輩にこうやって毎日のように迷惑をかけてしまっている私…。しかし、私、吉岡夏実は迷惑をかけても申し訳ないと思ったことは…少ししかない。だって…先輩がフォローしてくれるからね♪
「筆礼しまーす!」
「どうしましたか?…って夏実か…」
「ちょっとそれひどくない??」
「全く。」
このちょっとひどい対応をしているのは私の親友で保健委員会の岩村ゆず。
「なにー?また青木先輩?」
「うんっ!お話しちゃった♪」
「はーい、はいよかったね」
「え、ひどい…」
このとき私は先輩のことをよくわかっているようでわかっていなかったんだ…。