月曜日、早速私達が付き合っているという噂が流れていたが、私も康太も否定した。

皆に言うのは二人の仲が落ち着いてから、という事に決めていたのだ。

正直言って隠し通せる自信はなかったけど、康太との関係を他人に邪魔されたくなかったから頑張って交際を否定した。

「康太と付き合ってないなら俺と付き合ってよ。」

なかにはそんな風に告白してくる人もいたし、康太もそういう女子がいて迷惑だとこぼしてきた。


「付き合ってそうそう心配かけるな。ごめん。」

放課後の誰もいない教室で、康太が謝ってきた。

「そんなことないよ。こっちこそごめんね。」
「気にすんな。俺は平気だから。」
「康太も気にしないでね。」
「当たり前だ。大丈夫。」

また優しく抱き締められた。

「そろそろ部活に行く。また明日な。」
「頑張ってね。また明日。」

付き合っても、康太とは一緒に登下校出来ないから、毎日帰りがけに校庭の側まで行って康太の事をほんの少しだけ見てから帰ることにした。

「康太さん、チョコ食べれますよね?」
「私もあげます。」
「どんなチョコが好きですか?」

校庭の端で下級生が康太を取り囲んで質問をしていた。
明日に差し迫ったバレンタインの事だろうが、チョコやらお菓子やら本命やらといったフレーズが途切れることなく聞こえてきた。