「なぁ、ジュテームってどういう意味?」

フードコートで改めてプリクラを眺めながら、康太が聞いた。

「好き、かな。ちっちゃい頃にアニメでやってた。」

本当は愛してるなんだけど、それを言うのはまだ早い気がして言えなかった。

「美穂、ジュテーム!」
「ありがとう。」
「そんだけ?」
「ジュ、ジュテーム!」

恥ずかしくなったが、康太が笑ってくれたのを見たら幸せに思った。

「2月11日か。」
「そうだな。」
「初デート、しちゃったね。」
「しちゃったな。」
「来月も来ようね。」
「当たり前だ。」

このときは、“次”があるって信じていた。

いつでも、いつまでも康太とこうして笑って過ごせると信じて疑わなかった。

1か月後の悲劇なんて、私も康太も予想していなかった。いや、岩手の誰も、日本の誰も予想していなかっただろう。