「由葵ー、紫陽花が咲いてるよ。」

私はその、藤色の紫陽花を指さしながら由葵の方を向く。

「ほんとだー。そっかぁ。もう6月だもんね。」
由葵がめずらしげに紫陽花に近寄る。

「梅雨入りが今年は早いとかお母さんが言ってた~。」
私はゆっくりと話していると、由葵がザッと後ろへ飛び退いた。

「うおっ!かえるがいたぁっ!」
目をまん丸にして慌てているようで、なんだか可笑しかった。


「おは~~っ!由葵と結実ちゃん!」
「おはよう、ふたりとも。」

朝から元気の良い瑠香ちゃんと優しい紗英ちゃんがこっちに手を振っている。

「おっはよー!!」
私と由葵は声をそろえて言う。

遠くには、偶然会ったらしい佐倉くんと達川くんが一緒に校門の前を歩いていた。