PINKY DAYS

次に目を開けた時は、達川くんが前に立っていた。

いきなり私と目があったから達川くんは驚いてあたふたしていた。

「べ、別に何もしてないからなーッ」
顔を真っ赤にして最初に言った言葉はコレだ。

「はいはい。」
私は軽くあしらう。

「じゃなくて!あの、殴ってゴメン。まじゴメン。誰かが避けるから~~。あ、偶然だよ!ていうか、由葵にも殴ろうとしていたよ俺。」

頭を抱えて座り込んで早口で大きな独り言を話す達川くん。
おいおい、かっこわるいよ。君。

「普通は女の子殴ろうなんてしないよねー」
私がぷいっと横を向いて言う。

「すいませんでした。」

「私はまぁいいけど。たたかれて目が覚めたし。」

「え、ああ。お前五月病っぽいもんな。いつも。」

「なに?笑えないよ。」

「ごめんなさい。結実様」

「うわ、気色悪い!由葵にもちゃんと謝ってね?」

「了解しましたー。じゃあ、これ荷物。置いておく。」

「謝ってね!?」

「わかったーって!謝ってから帰るよ!!あーったくもーー。」

ふっと私はその姿を見て微笑んだ。


なんだよ、意外に面白いじゃないかー。


その可愛い君の背中を見て、ふと涙がこぼれそうになった。
ゴシゴシと目をこする。

泣かない。


そう決めたんだ。